オレンジや黄色の花を、春から霜が降りるころまで休みなく咲かせるマリーゴールド。花壇の縁取りにも、プランターにも、そして家庭菜園の畝のわきにも植えられる、使い道の広い花です。
苗を買ってきても育てられますが、マリーゴールドの本領は種から育てたときに出ます。発芽率が高く、1袋の種から何十株もつくれるためです。
この記事では、種まきから植えつけ、切り戻し、そして畑での使い方と種の採り方までをまとめました。当サイトで撮影した写真とあわせてご覧ください。

マリーゴールドの基本データと栽培カレンダー
| 学名 | Tagetes |
| 科名 | キク科タゲテス属 |
| 分類 | 一年草として扱う(暖地では冬を越すこともある) |
| 草丈 | 20〜40cm(フレンチ系)/60〜100cm(アフリカン系) |
| 開花期 | 4月〜11月ごろ |
| 日照 | 日なた |
| 耐暑性/耐寒性 | 強い/弱い |
| 発芽適温 | 20〜25℃前後 |
系統は大きく3つに分かれ、草丈も花の大きさも違います。系統ごとの特徴と花言葉はマリーゴールドの花言葉|色別・種類別・怖い意味と誕生花までにまとめてあります。
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 3〜5月 | 種まき/育苗 |
| 4〜6月 | 植えつけ・定植/摘芯 |
| 5〜10月 | 開花/花がら摘み/追肥 |
| 7〜8月 | 切り戻し(夏を越させる) |
| 9月 | 2回目の切り戻し/秋の花 |
| 10〜11月 | 種を採る/株の片づけ |
マリーゴールドの種まき
マリーゴールドは発芽率が高く、種まきの失敗が少ない花です。園芸をはじめて最初に種から育てる花として、これ以上ないくらい向いています。
まく時期
適期は3月から5月。発芽には20〜25℃前後の温度が必要なので、寒いうちにまいても芽が出ません。地域にもよりますが、桜が終わって、最低気温が15℃を安定して超えるころが目安です。
早く咲かせたい場合は3月に室内でまき、暖かくなってから外に出します。急がないなら、4月下旬から5月に屋外でまくほうが手間がかかりません。
※上はフレンチ系の一例です。草丈20〜40cmとコンパクトで、プランターにも花壇にも使いやすい系統です。
種の見た目と扱い方
マリーゴールドの種は、黒くて細長く、片方の先に白い毛のようなものが付いている独特の形をしています。長さは1cmほど。この毛は花がらの名残で、取り除く必要はありません。
軽くて風に飛ばされやすいので、屋外でまくときは風のない日を選んでください。指でつまめる大きさなので、1粒ずつ置いていくこともできます。ばらまくより間隔が揃い、あとの間引きが楽になります。
育苗ポットにまく方法
確実に育てたいなら、ポットやトレイにまいて苗をつくります。
- 清潔で肥料分の少ない用土を、ポットの八分目まで入れる
- 1ポットに3〜5粒をばらまく(細長い種なので、寝かせるように置く)
- 覆土は5mmほどと薄く。かけすぎると芽が出にくくなります
- 霧吹きなどでやさしく水を与え、土を流さない
- 明るい場所に置き、乾かさないように管理する
順調なら4日から1週間で芽が出ます。本葉が2〜4枚になったら、元気な1本を残して間引きます。もったいなく感じますが、混み合ったまま育てると全部が細くなるので、思い切って抜いてください。
直まき(畑や花壇に直接まく)
マリーゴールドは直まきでも育ちます。畑のわきに大量に植えたいときは、こちらのほうが早いです。
土をよく耕してやわらかくし、20〜30cm間隔で数粒ずつまきます。覆土はやはり薄く。芽が出たら、育ちのよいものを残して間引いていきます。ただし直まきは、鳥に種をついばまれたり、強い雨で流されたりすることがあります。確実性ではポットまきに劣ります。
種を水につけるとよい?
「まく前に種を一晩水につけると発芽率が上がる」という方法が知られています。吸水させることで発芽のスイッチが入りやすくなる、という考え方です。
ただしマリーゴールドはもともと発芽率が高いので、必須の手順ではありません。古い種で発芽が心配なときや、確実に揃えたいときに試す程度でよいと考えてください。長く水につけすぎると、かえって種が傷むこともあります。
①気温が低い……20℃を下回っていると発芽が止まります。まく時期が早すぎたケースが最も多いです。②土をかけすぎた……覆土は5mm程度。深いと芽が地上に出られません。③乾かした……発芽までは表土を乾かさないこと。④種が古い……採種から数年たった種は発芽率が落ちます。
苗の選び方と植えつけ
種まきをせず苗から始める場合は、茎が太く、節と節の間が詰まった株を選びます。間延びした苗は日照不足で育っており、植えても姿が乱れがちです。つぼみが多いものを選ぶと長く楽しめます。
植えつけの適期は4月から6月。株間は、フレンチ系で20〜25cm、大型のアフリカン系で30〜40cmが目安です。込み合わせると、夏に蒸れて下葉が傷みます。
用土は水はけのよいものを。市販の草花用培養土で十分です。プランターなら、深さよりも横に広いタイプのほうが株間を取りやすく、風通しも確保できます。
植えつけ後は、根が張るまで数日は土を乾かさないように管理します。
置き場所と水やり
置き場所は日なた。日照が足りないと、茎ばかり伸びて花が減ります。1日5時間以上は日が当たる場所を選んでください。
水やりは土の表面が乾いてからたっぷり。マリーゴールドは乾燥にはある程度耐えますが、過湿にはとても弱い花です。常に土が湿った状態が続くと、根が傷んで立ち枯れを起こします。
とくに梅雨どきは注意が必要です。雨が続く時期は水やりを止め、プランターなら軒下に移すくらいでちょうどよくなります。株が茂って風が通らなくなっているようなら、混み合った枝を間引いて空気の通り道をつくってください。
肥料
植えつけのときに緩効性の化成肥料を元肥として混ぜ込みます。
その後は、開花期のあいだ2週間に1回ほど液体肥料を与えます。花期が4月から11月と長いため、途中で肥料が切れると花数がはっきり減ります。
ただし与えすぎは逆効果です。窒素分が多すぎると、葉ばかり茂って花がつかなくなります。「切らさない、けれど濃くしない」が基本で、規定倍率を守って続けるのがいちばん確実です。
摘芯・花がら摘み・切り戻し
摘芯|株を横に広げる
苗が育って本葉が6〜8枚になったころ、先端の芽を摘み取ります。これを摘芯(ピンチ)といいます。
先端を止めると、そのすぐ下の節から脇芽が動き出し、枝数が増えます。結果として株がこんもりと横に広がり、花数が増えるのです。放っておくと1本立ちのまま背だけ伸び、花もまばらになります。ひと手間ですが、仕上がりがはっきり変わります。
花がら摘み
咲き終わった花は、花茎のつけ根から摘み取ります。花びらだけをむしっても、下に残った子房が種をつくり続けてしまうためです。
種をつくらせると株はそこで力を使い切り、次の花が減ります。長く咲かせたいなら、こまめに摘むのがいちばん効きます。しぼんだ花をそのまま放置すると、雨で腐って灰色かび病のもとにもなります。
切り戻し|夏を越させる
真夏になると、株が疲れて花が小さくなり、下葉が枯れ上がってきます。ここで7月から8月に、株の高さを半分ほどまで切り戻します。
切る位置は、葉が残っている節の少し上。葉が1枚もない部分まで深く切ると、芽が出るのに時間がかかります。切り戻すと株の風通しがよくなり、蒸れを防げます。3〜4週間で新しい枝が伸び、秋にもう一度きれいに咲きます。
9月にもう一度軽く整えておくと、霜が降りるころまで花が続きます。
畑で使う|コンパニオンプランツとしてのマリーゴールド
マリーゴールドが園芸店の野菜苗コーナーに並んでいるのを見たことがあるかもしれません。観賞用としてだけでなく、家庭菜園の相棒として使われる花だからです。
土の中の線虫を減らすとされる
マリーゴールドの根から出る成分に、土の中のセンチュウ(線虫)の一部を減らす働きがあるとされ、古くから利用されてきました。とくに大型のアフリカン系は、この目的で畑にすき込む使い方(緑肥)が知られています。
ただしすべての線虫に効くわけではなく、種類によって結果は変わります。また、数株を植えただけで畑全体の土が変わるわけでもありません。効果を期待するなら、対象となる区画にまとまった量を植え、生育期間を確保する必要があります。「植えておけば安心」という性質のものではないと考えてください。
虫除けとしての使われ方
独特の強い香りが虫を寄せにくくする、ともいわれます。トマト・ナス・ピーマンなどのナス科野菜のそばに植える組み合わせが定番です。
ただしこちらも、殺虫剤のように確実に虫を防ぐものではありません。実際、マリーゴールド自身にアブラムシやハダニがつくこともあります。「これを植えれば農薬がいらない」という話ではなく、畑の環境を多様にする一手として捉えるのが現実的です。
アフリカン系とフレンチ系、どちらを使うか
畑で使う目的なら、草丈が高く根量の多いアフリカン系が向くとされます。土にすき込む使い方をするなら、量が確保できるほうが理にかなうためです。
一方で、畝のわきや花壇の縁に植えるならフレンチ系が扱いやすいでしょう。草丈20〜40cmとコンパクトで、野菜に日陰をつくりません。アフリカン系は1m近くまで伸びるため、植える場所を選ばないと、隣の作物に影を落とすことになります。
一緒に植えないほうがよいとされる野菜
相性のよい組み合わせが語られる一方で、避けたほうがよいとされる相手もあります。よく挙げられるのがマメ科の野菜(枝豆・インゲン・エンドウなど)です。
マメ科は根に共生する菌の働きで栄養をつくるため、マリーゴールドの根から出る成分がその働きに影響するのではないかといわれています。ただしこれは条件によって結果が分かれる話で、はっきり決着がついているわけではありません。
組み合わせの良し悪しを一つずつ検証するのは大変です。確信が持てないうちは、野菜の株間に混植せず、畝の端や通路ぎわにまとめて植えるのが無難です。景観としても畑の縁取りになり、作業の邪魔にもなりません。
当サイトでは、サルビアとマリーゴールドの花壇や寄せ植えのアクセントに使ったマリーゴールドの写真も掲載しています。
種を採って翌年に使う
マリーゴールドは種が採りやすい花です。買った種を1年で使い切らなくても、株から採ってつなげば毎年育てられます。
- 秋に咲いた花のうち、いくつかを摘まずに残す
- 花がしぼんで、つけ根が茶色くカサカサに乾くまで待つ
- 乾いた花がらごと摘み取り、指でほぐす
- 黒くて細長い、先に白い毛のついたものが種
- 数日陰干しして完全に乾かし、紙袋に入れて涼しい場所で保管する
湿ったまま袋に入れるとカビます。乾かしきることが唯一のコツです。
保管は、密閉容器よりも封筒などの紙袋が向いています。わずかに湿気が抜けるためです。袋には花の色と採った年を書いておくと、翌春に迷いません。置き場所は、直射日光の当たらない涼しいところを選んでください。
こぼれ種から芽が出た場合は、そのまま育ててもかまいません。ただし生える場所は選べないので、通路の真ん中に出てきた芽は、本葉が数枚のうちに移植すると根づきます。大きくなってから動かすと傷みます。
なお、こぼれ落ちた種から翌春に芽が出ることもあります。ただし親と同じ花が咲くとは限りません。園芸品種の多くは交配種で、採った種から育てると、色や形が親と変わることがあります。それも種から育てる楽しみのひとつですが、同じ花をそろえたい場合は市販の種を買うほうが確実です。
トラブルの原因と対処
花が咲かない・つぼみがつかない
まず日照不足を疑います。次に肥料の与えすぎ。窒素分が多いと葉ばかり茂ります。摘芯をしていない株は枝数が少なく、花数も伸びません。
株が枯れる・下葉が黒くなる
過湿がほとんどの原因です。水のやりすぎ、水はけの悪い土、受け皿の水のためっぱなし。梅雨どきに株元が蒸れて立ち枯れることもあります。植える間隔を十分に取り、混み合った枝を間引いて風を通してください。
葉が黄色くなる
下葉から順に黄色くなるなら、根の傷みか肥料切れです。水のやりすぎが続いていないか、鉢の場合は根が回っていないかを確認してください。
葉全体がまだらにかすれて色が抜けるなら、ハダニが疑われます。葉裏を見て、細かい点や白い糸のようなものがないか確かめてください。
害虫
虫除けに使われる花ですが、マリーゴールド自身は無傷ではありません。春から初夏の新芽にアブラムシ、乾燥した高温期の葉裏にハダニがつきます。
ハダニは水に弱いので、葉裏まで勢いよく水をかけるだけでも減らせます。増えてしまった場合は薬剤で対処します。
※薬剤には、使用できる植物と対象となる害虫が定められています。使用の可否・希釈倍率・回数は、必ず製品ラベルの記載を確認してください。
マリーゴールドの育て方でよくある質問
Q. 一年草ですか、多年草ですか。
日本では一年草として扱うのが一般的です。霜に当たると枯れるためで、春にまいて秋に片づける流れになります。ただし霜の降りない暖地では、そのまま冬を越して翌年も咲くことがあります。レモンマリーゴールドなど、宿根性のある種類も存在します。
Q. 挿し木で増やせますか。
増やせます。切り戻しで出た枝を10cmほどに切り、下葉を落として清潔な用土に挿すと根が出ます。適期は生育期の5〜7月ごろ。ただしマリーゴールドは種が簡単に採れるので、増やす目的なら種のほうが手軽です。
Q. 摘芯は必ずしないといけませんか。
しなくても咲きます。ただし摘芯した株のほうが枝数が増え、花数もまとまります。花壇をこんもり見せたいなら、やっておく価値があります。
Q. プランターでも育てられますか。
育てられます。フレンチ系なら65cmの標準プランターに3株が目安です。詰めて植えると夏に蒸れるので、欲張らないほうが結果的にきれいに咲きます。深さより横幅を優先して選んでください。
Q. 冬越しはできますか。
霜が降りる地域では枯れます。日本の多くの地域では一年草として扱い、秋に種を採って翌春にまき直すのが基本の流れです。暖地では株が残ることもありますが、翌年の姿は乱れやすいので、種から更新したほうがきれいにまとまります。
Q. 種はいつまで使えますか。
乾燥させて涼しい場所に置けば、翌年の春には問題なく使えます。年数がたつほど発芽率は落ちるので、採った種はその翌年に使い切るのが確実です。
まとめ|次の一歩
マリーゴールドの育て方は、押さえるところが3つです。気温が上がってからまく。日なたで、乾かし気味に育てる。そして夏に切り戻す。これだけで、春から霜が降りるまで咲き続けます。
そして、秋になったら花をいくつか残しておいてください。乾いた花がらをほぐすと、翌年ぶんの種が手に入ります。一袋の種から始めて、その株から採った種でまた翌年を迎える。この循環を体験できるのが、マリーゴールドを種から育てるいちばんの面白さだと思います。
畑をお持ちなら、野菜のそばに何株か植えてみるのもいいでしょう。効果を過信する必要はありませんが、畝の縁がオレンジ色に縁取られるだけで、畑に出るのが少し楽しくなります。
※当サイトはすべて自社で撮影した写真を掲載しています。種まきや切り戻しなどの作業工程は撮影できていないため、写真の掲載はありません。
次に見ていただきたいページを3つ。
- 花言葉と種類を知る → マリーゴールドの花言葉|色別・種類別・怖い意味と誕生花まで
- マリーゴールドの写真を見る → マリーゴールド(別名:万寿菊・千寿菊)
- 道具や土からそろえる → 花の育て方に必要なもの|道具・培養土・肥料ガイド