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夏から秋の花壇を、燃えるような赤で埋めるサルビア。学校の花壇でおなじみの、丈夫で育てやすい花です。
ところが「サルビアの育て方」を調べはじめると、話が急にややこしくなります。毎年植え替えると書いてある記事と、冬に切って残すと書いてある記事が、両方出てくるからです。
どちらも間違いではありません。サルビアには一年性のものと宿根性のものがあり、そこから先の手入れがまるごと分かれるためです。
この記事では、その分岐をいちばん最初に整理したうえで、植えつけから切り戻し、夏越し、冬越しまでをまとめました。当サイトで撮影したサルビアの写真とあわせてご覧ください。

サルビアの基本データと栽培カレンダー
まず、花壇でおなじみの赤いサルビア(サルビア・スプレンデンス)の性質をまとめておきます。
| 学名 | Salvia splendens |
| 科名 | シソ科 |
| 和名 | 緋衣草(ヒゴロモソウ) |
| 原産地 | ブラジル |
| 日本での扱い | 非耐寒性の一年草 |
| 草丈 | 30cm前後の矮性種〜80cmを超える高性種 |
| 開花期 | 6月〜11月ごろ |
| 日照 | 日なた |
| 耐暑性/耐寒性 | 強い/弱い |
一年の作業を時期順に並べると、次のようになります。
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 4〜5月 | 種まき(発芽適温20〜25℃) |
| 5〜6月 | 苗の植えつけ・元肥・支柱の準備 |
| 6〜11月 | 開花/花穂の摘み取り/追肥 |
| 7月下旬〜8月上旬 | 切り戻し(秋の花のため) |
| 9月下旬〜10月 | もっとも花が揃う時期/採種 |
| 11月〜 | 一年性は終了。宿根性は地上部を刈る |
開花期が半年近くあるのがサルビアの持ち味です。その長さを最後まで使い切れるかどうかは、7月下旬の切り戻しにかかっています。
まず「一年性」か「宿根性」かを見分ける
手入れの話に入る前に、これだけは先に確かめてください。手元のサルビアが一年性か宿根性かです。ここから先の作業が、根本的に変わります。
| 一年性サルビア | 宿根サルビア | |
|---|---|---|
| 代表 | スプレンデンス(緋衣草) =花壇の赤いサルビア | アズレア、ネモローサなど |
| 草丈 | 30〜80cmほど | 1mを超えるものもある |
| 冬 | 枯れる。抜いて片づける | 地上部が枯れ、春に芽吹く |
| 翌年 | 新しい苗か種から | 同じ株が育つ |
| 増やし方 | おもに種 | 株分け・挿し芽 |
見分け方でいちばん確実なのは、購入時のラベルです。「一年草」「秋まき一年草」と書かれていればスプレンデンス系、「宿根草」「多年草」とあれば宿根タイプです。
ラベルが手元にない場合は、花の付き方が手がかりになります。赤い花穂がぎっしり詰まって立つのが一年性のスプレンデンス。細い花茎に小さな花がまばらにつき、株が大きく茂るのが宿根タイプに多い姿です。

サルビア属は世界に900種以上あるとされ、宿根タイプだけでも性質はさまざまです。耐寒性の強さ、草丈、花色、開花時期のいずれも種によって差があります。「宿根サルビアだから大丈夫」と一般化せず、購入時のラベルに書かれた耐寒温度と草丈を確認してください。この記事では共通して言える部分を書いています。
以下、とくに断りのない項目は両方に共通する内容です。分かれる部分には、そのつど「一年性は」「宿根性は」と書き添えます。
苗の選び方と植えつけ|花壇とプランターの使い分け
よい苗の見分け方
- 節と節の間が詰まっている(間延びした苗は日照不足で育っている)
- 下葉が黄色くなっていない
- まだ咲ききっていない(満開の苗は根が回りすぎていることがある)
植えつけの時期と株間
適期は5月から6月。遅霜のおそれがなくなってからにします。サルビアは寒さに弱く、早植えしても伸びません。
株間は矮性種で20cm、高性種や宿根タイプでは30cm以上とります。詰めて植えると株元の風通しが悪くなり、真夏に傷みやすくなります。用土は市販の草花用培養土でかまいません。
花壇とプランター、どちらにするか
意外と語られませんが、ここは最初に決めておく価値があります。
| 花壇(地植え) | プランター | |
|---|---|---|
| 水やり | 根づけばほぼ不要 | 真夏は毎日。朝夕2回の日も |
| 草丈 | 高性種・宿根タイプも使える | 矮性種が向く |
| 倒れやすさ | 支柱で対応できる | 背が高いと鉢ごと倒れる |
| 宿根タイプ | 向く(植えっぱなしにできる) | 鉢が窮屈になり数年で植え替え |
宿根サルビアを育てるなら、最初から花壇の後方に植えてしまうのがいちばん楽です。毎年大きくなるので、手前に背の低い草花を組み合わせると全体が整います。
日当たり・置き場所・用土
日なたを好みます。日照が足りないと茎が間延びし、花穂も貧弱になります。半日陰でも枯れはしませんが、あの密度のある花穂は望めません。
学校の花壇でサルビアが定番なのは、まさにこの性質のためです。夏休みのあいだ人が世話をしなくても、日さえ当たっていれば咲き続けてくれます。
用土は、水はけがよく、しかも乾ききらないものが理想です。市販の草花用培養土で十分ですが、花壇に植えるなら植えつけの2週間ほど前に腐葉土や堆肥を混ぜ、土をふかふかにしておくと根の張りが変わります。
宿根タイプは同じ場所で何年も育てることになるので、この土づくりがそのまま数年ぶんの土台になります。ここだけは手を抜かないほうが後が楽です。
水やりと肥料|水切れと過湿の両方に注意
サルビアの水やりは、少しやっかいです。乾かしすぎても、湿らせすぎても弱ります。
プランターは、表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。真夏は朝に与えても夕方には乾いていることがあり、その場合は夕方にもう一度。逆に、土が湿っているうちに足すのは根を傷めます。
花壇は、植えつけ直後をのぞけば基本的に不要です。日照りが1週間以上続くようなら、朝か夕方にたっぷり与えてください。
肥料は、植えつけのときに緩効性化成肥料を元肥として混ぜ込みます。開花中は液体肥料を10日から2週間に1回、または置き肥を月1回のペースで続けます。
サルビアは半年近く咲き続けるぶん、肥料の消耗が大きい花です。夏の途中で花穂が小さくなったり、色が薄くなったりしたときは、まず追肥を思い出してください。ただし与えすぎると茎葉ばかりが茂って倒れやすくなります。規定倍率を守り、間隔を空けずに続けるのが確実です。
切り戻し・花穂の摘み取り・支柱
花穂は「萼ごと」摘み取る
サルビアの花がら摘みには、ひとつコツがあります。
赤い部分の多くは花びらではなく萼(がく)で、筒状の花が散ったあとも赤いまま残ります。そのため「まだ咲いている」ように見えてしまう。摘むときは一輪ずつではなく、咲き終わった花穂を茎ごと、付け根で切り取ります。
これをこまめに続けると、脇から新しい花穂が上がってきます。放っておくと株が種をつくることにエネルギーを使い、花数が落ちていきます。
切り戻しは7月下旬から8月上旬に
真夏に入るころ、株全体を草丈の2分の1から3分の1ほどの位置で刈り込みます。伸びて乱れた株を仕立て直し、風通しをよくするのが目的です。
思い切って切るのがコツです。2〜3週間ほど花は途切れますが、涼しくなるころに新しい枝が伸びて、秋にもう一度きれいに揃います。9月下旬から10月がサルビアのいちばんの見ごろになるのは、この切り戻しがあってこそです。
切り口が潰れると傷みの原因になります。よく切れるはさみを使ってください。
高性種と宿根タイプは支柱を
あまり書かれていませんが、実際に困るのがこれです。
草丈80cmを超える高性種や、1mに達する宿根タイプは、夏の夕立や台風で簡単に倒れます。倒れた株は根が浮き、そのまま弱ってしまうこともあります。
支柱は、倒れてから立てるのでは遅い。植えつけのときか、草丈が40cmを超えたあたりで、あらかじめ立てておいてください。茎をビニールタイでゆるく結び、締めつけないようにします。
真夏に花が減ったとき(夏越し)
サルビアは暑さに強い花ですが、真夏のいちばん暑い時期に、いったん花数が落ちることがあります。
これは弱っているのではなく、株が体力を温存している状態です。あわてて肥料を足したり、水をやりすぎたりすると、かえって逆効果になります。
やることは3つです。切り戻して株を休ませる。風通しを確保する。水切れだけは起こさない。この状態で8月をやり過ごせば、涼しくなったころに株ごと花が戻ってきます。
プランターなら、真夏だけ午後に日陰になる場所へ移してやると株の傷みが減ります。花壇の場合は動かせないので、切り戻しでしのぐことになります。
なお、株元がじめじめしていると灰色かび病が出やすくなります。混み合った下葉は早めに整理し、枯れ葉は取り除いてください。
冬越し|一年性は終える、宿根性は残す
ここが、冒頭で整理した分岐がいちばんはっきり出る場面です。
一年性(緋衣草)の場合
原産地のブラジルでは多年草ですが、日本の冬は越せません。霜が降りるころには枯れ上がるので、株ごと抜いて片づけます。
翌年は、新しい苗を買うか、採っておいた種をまきます。どうしても同じ株を残したい場合は、9月ごろに挿し芽をして、冬のあいだ室内の明るい窓辺で管理する方法もあります。ただし手間のわりに株が小さくなりやすく、一般的とは言えません。
宿根タイプの場合
花が終わったら、地上部を株元近くまで刈り取ります。地下の根株は生きているので、抜いてしまわないよう気をつけてください。
寒冷地では、刈ったあとの株元に腐葉土やバークチップを敷いて防寒します。春になると新しい芽が伸びてきます。
数年で株が大きくなりすぎたら、春の芽出し前に掘り上げて株分けします。これがそのまま増やし方にもなります。
宿根サルビアといっても、屋外で越冬できるものから、寒冷地では鉢上げが必要なものまで含まれます。「宿根だから庭に植えっぱなしでよい」とは限りません。お住まいの地域と、購入時のラベルに書かれた耐寒温度を照らし合わせて判断してください。
種まき・増やし方と、おもな種類
種まき
一年性のサルビアは、種からでもよく育ちます。学校で育てられてきたのも、この育てやすさゆえです。
まく時期は4月から5月。発芽適温は20〜25℃です。サルビアの種は光を受けて発芽する性質があるため、覆土はごく薄くにとどめます。厚くかぶせると発芽が揃いません。
本葉が2〜3枚になったら込み合ったところを間引き、4〜5枚のころにポットや花壇へ移します。水やりは、種が流れないよう底面給水か霧吹きで。
種を採る/株を分ける
採種するなら、秋に咲いた花穂をいくつか摘まずに残します。萼が茶色く乾いてきたら中の種を取り出し、封筒などに入れて冷暗所で保管してください。
ただし園芸品種から採れた種は、親と同じ花色や姿にならないことがあります。同じものを揃えたいなら苗か市販の種を、何が出るかを楽しむなら自家採種を、と割り切ると気が楽です。
宿根タイプは種よりも株分けと挿し芽が確実です。株分けは春の芽出し前、挿し芽は生育期に、元気な茎を10cmほど切って用土に挿します。
おもな種類
| 種類 | 性質 |
|---|---|
| サルビア・スプレンデンス (緋衣草) | 花壇の定番。一年性。赤のほか白・ピンク・紫・サーモン色の園芸品種もある |
| ブルーサルビア (サルビア・ファリナセア) | 青紫の細い花穂を立てる。日本ではおもに一年草として扱われる |
| サルビア・アズレア | 北米原産の宿根タイプ。草丈が高く、澄んだ青紫の花を咲かせる |
| セージ (サルビア・オフィシナリス) | 料理に使われるハーブ。同じサルビア属だが別の種 |
近年は、のびのびと大きく育つスーパーサルビアのようなシリーズも流通しています。従来のサルビアより草丈が高く、開花期間も長い品種群です。性質が異なるので、育て方は購入時のラベルにしたがってください。
※当サイトはすべて自社で撮影した写真を掲載しています。ブルーサルビアとスーパーサルビアは撮影できていないため、写真の掲載はありません。
サルビアの育て方でよくある質問
Q. 葉ばかり茂って花が咲きません。
チッ素分の多い肥料の与えすぎか、日照不足が考えられます。まず日当たりを確かめ、問題なければ肥料を控えて様子を見てください。茂りすぎた枝は切り戻して整理します。
Q. 花穂の赤い部分がいつまでも残ります。摘んだほうがよいですか。
摘んでください。赤く残るのは萼で、花はすでに散っています。咲き終わった花穂は付け根で切り取ると、新しい花穂が上がってきます。
Q. 切り戻しをする勇気が出ません。失敗しませんか。
生育期の株なら、多少切りすぎても枝は伸びてきます。心配なら、まず株の3分の1程度から試してみてください。何もしないまま夏を越すより、株の状態はよくなります。
Q. 宿根サルビアは植えっぱなしでよいのですか。
基本的には可能ですが、種によって耐寒性に幅があります。また数年で株が混み合ってくるので、春の芽出し前に株分けをして更新すると花つきが保てます。
Q. マリーゴールドと一緒に植えられているのをよく見ます。
どちらも暑さに強く、初夏から秋まで長く咲くため、途中で植え替える手間がかからない組み合わせだからです。赤と黄の対比も花壇で映えます。
まとめ|次の一歩
サルビアの育て方でいちばん大事なのは、手元の株が一年性か宿根性かを最初に確かめることです。そこさえ押さえれば、冬の作業で迷うことはなくなります。
そして共通して効くのが、7月下旬の切り戻し。ここで思い切って刈り込めるかどうかで、秋の花壇がまるごと変わります。9月下旬から10月、株いっぱいに花が揃った姿は、切り戻しを我慢したごほうびのようなものです。
次に見ていただきたいページを3つ挙げておきます。
- サルビアの花言葉を知る → サルビアの花言葉|知恵・尊敬の由来と色別・種類別の意味
- サルビアの写真を見る → サルビア(無料写真素材)/綺麗な紫色に染まったサルビア・アズレア
- 道具や土からそろえる → 花の育て方に必要なもの|道具・培養土・肥料ガイド