夏から秋の花壇を、燃えるような赤で埋めるサルビア。学校の花壇や公園で、いちどは目にしたことがあるのではないでしょうか。
このサルビアの花言葉は「知恵」「尊敬」。華やかな見た目からは少し意外な、落ち着いた言葉が並びます。じつはこの背景には、サルビアがハーブのセージと同じ仲間である、という事実が関わっていました。
この記事では、サルビアの花言葉とその由来、色別・種類別の意味、誕生花としての日付、そして「緋衣草(ヒゴロモソウ)」という和名の由来までをまとめました。19年撮りためた自社の写真とあわせてご覧ください。

サルビアの花言葉
サルビア全体に与えられている花言葉は、次のとおりです。
- 知恵
- 尊敬
- 家族愛
- 良い家庭/家庭の徳
- 燃ゆる想い
- エネルギー/全て良し
大きく2つの系統に分かれているのがわかります。ひとつは「知恵」「尊敬」という、落ち着いた知性を思わせるグループ。もうひとつは「燃ゆる想い」「エネルギー」という、赤い花色そのままの情熱的なグループです。
そして「家族愛」「良い家庭」が、その両方をつなぐように置かれています。ひとつの花に、まったく違う方向の言葉が同居している。この理由も、あとで見る名前の由来をたどると腑に落ちます。
色別の花言葉
サルビアには赤・青紫・白・ピンクなど、いくつもの花色があります。色ごとの花言葉も紹介されることがありますが、扱いには注意が必要です。
サルビアの色別の花言葉には、公的に定まったものがありません。紹介する媒体によって言葉が変わり、なかには真逆の意味を載せているものもあります。当サイトでは、確認できないものを断定して書くことは避けています。贈り物に添えるなど正確さが必要な場面では、複数の情報源をご確認ください。
比較的よく見かけるのは、次のような解釈です。
- 赤=燃ゆる想い、情熱。花色そのままのイメージ
- 青紫=知恵、尊敬。落ち着いた色合いから
- 白=家族愛、良い家庭
ご覧のとおり、全体の花言葉を色のイメージで振り分けただけとも読めます。色別の意味は「そう言われることがある」程度に受け止めるのが安全だと考えています。
種類ごとの花言葉
「サルビア」と呼ばれる植物は、じつはひとつではありません。サルビア属(Salvia)は世界に900種以上あるとされる大所帯で、園芸店に並ぶものだけでも複数の種があります。
| 種類 | 特徴と扱われ方 |
|---|---|
| サルビア・スプレンデンス (緋衣草) | 花壇でおなじみの、いわゆる「赤いサルビア」。ただし白・ピンク・紫・サーモン色の園芸品種もあります。「燃ゆる想い」は緋色の花に重ねて語られます |
| ブルーサルビア (サルビア・ファリナセア) | 青紫の細い花穂を立てる種。「知恵」「尊敬」が結びつけられることが多い種類です |
| サルビア・アズレア | 北米原産の宿根タイプ。澄んだ青紫の花を咲かせます |
| セージ (サルビア・オフィシナリス) | 料理に使われるハーブ。花言葉の由来はここにあります(後述) |
種類ごとの花言葉として紹介されるものの多くは、全体の花言葉のうち、その種の姿に合うものを選び出したものです。まったく別の言葉が用意されているわけではありません。

花言葉の由来は「セージ=賢人」にありました
なぜ、赤い花壇の花に「知恵」「尊敬」という言葉がつくのか。答えは英語名にあります。
サルビアは英語で sage(セージ) と呼ばれます。そして英語の sage には、ハーブの名前とは別に「賢人」「賢い」という意味があります。
この2つの sage は、語源をたどるとまったく別のことばです。
ハーブのセージは、ラテン語で「健康な」を意味する salvus、「救う」「健やかである」を意味する salvere にさかのぼります。ここから属名の salvia が生まれ、フランス語を経て英語の sage になりました。
賢人のセージのほうは、ラテン語で「賢い」「知っている」を意味する sapere の関連語 sapius が出発点です。これが古フランス語の sauge/sage となり、英語に入りました。
つまりもともと無関係だった2つのことばが、どちらもフランス語を通って英語に入り、たまたま同じつづりに行き着いたということになります。
サルビア=sage、sage=賢人。この言葉の重なりから「知恵」「尊敬」という花言葉が生まれたと説明されます。花の姿でも、色でもなく、名前の偶然が意味を決めた珍しい例です。
属名の Salvia が「健康」「救う」を語源に持つのは、セージが古くから薬草として重んじられてきたからです。名前そのものが、この植物の役割を語っているわけです。
「家族愛」「良い家庭」「全て良し」といった花言葉は、この暮らしを支える薬草としての性格から来ていると考えると、すじが通ります。ひとつの花に散らばって見えた言葉が、名前をたどると一本につながるのは面白いところです。
なお、料理に使うセージと、花壇に植える赤いサルビアは同じ属の別の種です。花壇のサルビアを食用にすることは想定されていないため、口に入れる目的では扱わないでください。
西洋に伝わるサルビアの言い伝え
薬草としてのサルビア(セージ)は、ヨーロッパで長いあいだ特別な扱いを受けてきました。花言葉の背景を知るうえで、いくつかの言い伝えを紹介します。
中世の医学校でまとめられた養生訓には、「庭にセージが茂っているのに、なぜ人は死ぬのか」という一節が伝えられています。それほどまでに万能の薬草だと信じられていた、ということです。
イギリスには、セージがよく育つ家は、その家が栄えているという言い伝えもあります。庭のセージが枯れはじめると家運が傾く、という言い方をする地域もあったようです。
花言葉の「家族愛」「良い家庭」「家庭の徳」は、こうした暮らしと結びついた薬草としての来歴から生まれたと考えると、収まりがよくなります。花壇の赤い花から直接出てきた言葉ではなかったわけです。
※これらはいずれも民間に伝わる言い伝えであり、薬効を保証するものではありません。健康上の目的で用いることをお考えの場合は、専門家にご相談ください。
「燃ゆる想い」は怖い意味なのでしょうか
サルビアの花言葉を調べていると「燃ゆる想い」という言葉に立ち止まる方がいらっしゃるかもしれません。激しい感情を連想させるため、贈り物には重すぎるのでは、と気になるところです。
結論から言えば、恐ろしい意味は含まれていないと考えてよさそうです。
「燃ゆる想い」は、真夏の花壇を埋めつくす赤い花のありようを、そのまま言葉にしたものです。うつろいやすい情熱ではなく、暑さのなかで何か月も咲き続ける持続的な力。そう読むほうが、この花の性質には合っています。
サルビアには、彼岸花の毒のような、はっきりとした負の言い伝えも見当たりません。「知恵」「尊敬」という落ち着いた言葉も併せ持つので、目上の方への贈り物にも向く花です。
サルビアの名前と別名
呼び名が多く、調べ物のときに混乱しやすい花です。整理しておきます。
| 呼び名 | 由来・使われ方 |
|---|---|
| サルビア | 属名 Salvia をそのまま。園芸店でいちばん使われる名前 |
| 緋衣草(ヒゴロモソウ) | 和名。緋色(あざやかな赤)の衣をまとったような姿から |
| セージ | 英名。ハーブとしてのセージも同じ属 |
和名の緋衣草は、字面のとおりです。緋(ひ)はあざやかな赤のこと。真っ赤な花穂が幾重にも重なる姿を、衣に見立てた名前です。花壇に並んだサルビアを遠くから眺めると、この名前がしっくりきます。
ここで混同しやすい点がひとつあります。緋衣草は「赤い花」の呼び名ではなく、サルビア・スプレンデンスという“種”の和名だということです。
スプレンデンスには、白・ピンク・紫・サーモン色などの園芸品種もあります。これらも植物としては同じスプレンデンスですから、緋衣草に含まれます。名前の由来がたまたま緋色だっただけで、その色しかないわけではありません。
いっぽう、青紫のブルーサルビア(ファリナセア)やアズレアは別の種です。こちらは緋衣草とは呼びません。図鑑や園芸書で「サルビア=緋衣草」と書かれていたら、スプレンデンスの話だと考えてください。
分類はシソ科。葉を軽くこすると香りが立つのは、ハーブのセージやミント、シソと同じ仲間だからです。
誕生花としてのサルビア
サルビアは、次の日の誕生花として紹介されています。
- 8月7日
- 8月31日
- 9月19日
いずれも夏の盛りから初秋にかけて、サルビアがもっとも見ごろになる時期と重なります。なお誕生花には国際的な統一基準がなく、書籍・Webサイト・花き業界の団体がそれぞれ独自の一覧を持っています。上記は複数の媒体で共通して見られる日付、とお考えください。
サルビアを贈るとき
サルビアは切り花として流通することの少ない花ですが、鉢植えや花壇苗として贈られることがあります。花言葉から見て「合う場面」を整理しておきます。
- 恩師・目上の方へ……「知恵」「尊敬」。9月19日の誕生花でもあり、敬老の日と時期が重なります
- 新築・引っ越しのお祝いに……「良い家庭」「家庭の徳」「全て良し」
- 家族の記念日に……「家族愛」
花言葉が「知恵」と「家庭」という二つの方向に伸びているぶん、贈る相手の幅は意外と広い花です。恋人への贈り物に使われることは少ないものの、お世話になった方への感謝を伝える場面にはよく合います。
いっぽうで、お見舞いに鉢植えを贈るのは避けるのが一般的です。「根づく」が「寝つく」に通じるとして敬遠されるためで、これはサルビアに限った話ではありません。
贈るなら、花壇苗を数株まとめて、というのがサルビアらしい形でしょう。初夏から晩秋まで咲き続けるので、長く楽しんでいただけます。
サルビアはどんな花か
花言葉の背景を知るうえで、花そのものの姿も押さえておきます。ここでは、花壇でおなじみの赤いサルビア(スプレンデンス)を中心にご紹介します。
原産地はブラジル。熱帯生まれのため暑さに強く、日本の真夏でも花を落としません。夏の花壇の主役を任される理由がここにあります。
開花期は、およそ6月から11月まで。半年近く咲き続ける息の長さが持ち味です。ただし真夏のいちばん暑い時期は、いったん花数が落ちることがあります。
草丈は品種によって30cmほどの矮性種から、80cmを超える高性種までさまざま。花壇の後列に使うか、鉢で楽しむかで選ぶ品種が変わります。
花のつくりで面白いのは、赤い部分の多くが花びらではなく萼(がく)だという点です。中央から筒状の花が伸び、それを包む萼も同じ赤に染まっている。だから花が散ったあとも、しばらく赤さが残ります。長く色を保って見えるのはこのためです。
子どものころ、花を抜いて根元の蜜を吸った記憶をお持ちの方もいるかもしれません。あの筒状の部分が、サルビアの本当の花にあたります。
撮影する立場から言うと、サルビアがいちばん美しく揃うのは9月下旬から10月にかけてです。真夏はどうしても花穂に抜けができますが、朝晩が涼しくなると株全体に花が戻り、色も深くなります。
光の当て方でも印象が変わります。順光で撮ると色が飽和して赤がべたっとつぶれやすいので、少し斜めから、あるいは曇りの日に撮るほうが花穂の立体感が出ます。緋衣草という名前にふさわしい姿を写したいときは、光を選んでみてください。
サルビアのよくある質問
Q. サルビアとセージは同じものですか。
同じサルビア属の植物ですが、種としては別です。「セージ」と呼ばれるのはおもに料理用のサルビア・オフィシナリス。花壇の赤いサルビアはスプレンデンスという別の種で、観賞用として育てられています。
Q. 花言葉を添えて贈っても大丈夫でしょうか。
「知恵」「尊敬」「家族愛」はいずれも前向きな言葉で、目上の方や恩師への贈り物にもよく合います。ただし色別の花言葉は出典によって差があるため、言葉を添える場合は全体の花言葉を使うほうが無難です。
Q. 白やピンクのサルビアも「緋衣草」と呼びますか。
呼びます。緋衣草はサルビア・スプレンデンスという種の和名であって、花色の呼び名ではありません。スプレンデンスには白・ピンク・紫・サーモン色の園芸品種があり、いずれも緋衣草に含まれます。ただし別種であるブルーサルビア(ファリナセア)やアズレアは、緋衣草とは呼びません。
Q. 一年草ですか、多年草ですか。
種類によります。花壇でおなじみの赤いサルビアは、原産地では多年草ですが日本の冬は越せないため、一年草として扱うのが一般的です。いっぽうアズレアなどの宿根タイプは、条件が合えば数年にわたって育ちます。
Q. 「サルビア」という名前の由来は何ですか。
属名 Salvia は、ラテン語で「救う」に近い意味のことばに由来するとされています。セージが古くから薬草として使われてきたことの名残です。
Q. サルビアの見ごろはいつごろですか。
開花期は6月から11月と長いのですが、株全体がいちばんよく揃うのは9月下旬から10月です。真夏は花穂に抜けができやすく、涼しくなってから色も深くなります。花壇を見に行くなら秋口がおすすめです。
Q. 学校の花壇でよく見かけるのはなぜですか。
丈夫で手がかからず、種からでも育てやすいうえ、夏休みを挟んでも咲き続けるためだと言われます。1学期に植えて2学期に観察できる、という育てやすさが、長く定番であり続けた理由でしょう。マリーゴールドと並んで植えられることが多いのも同じ理由です。
まとめ|次の一歩
サルビアの花言葉は、知恵・尊敬・家族愛・良い家庭・燃ゆる想い・エネルギー。落ち着いた言葉と情熱的な言葉が同居して見えますが、たどっていくと英名 sage(賢人)と属名 Salvia(救う)という2つの名前に行き着きます。
知恵を象徴する薬草でありながら、花壇では緋色の衣をまとって咲く。ひとつの花に2つの顔があると思って眺めると、見慣れた花壇が少し違って見えてきます。
次に見ていただきたいページを3つ挙げておきます。
- サルビアの写真をもっと見る → サルビア(無料写真素材)/紫色に染まったサルビア・アズレア
- ほかの花の花言葉を調べる → 花の種類別 花言葉一覧
- 育ててみたくなったら → 花の育て方に必要なもの|道具・培養土・肥料ガイド