クリスマスの前に買ったポインセチアが、年が明けたころから元気をなくす。そんな経験はないでしょうか。
ポインセチアを弱らせる原因の多くは、寒さそのものではなく、昼と夜の温度差です。日当たりのよい窓辺は、昼はよく暖まりますが、夜は外気に近いところまで下がります。
この記事では、置き場所と水やりから、花が終わったあとの切り戻し、翌年また赤くする短日処理までを年間の流れで整理します。

買うときに見るところと、置き場所
ポインセチアはメキシコから中央アメリカが原産の、トウダイグサ科の常緑低木です。クリスマスの花として真冬に出回りますが、もともと寒さに強い植物ではありません。
冬の見た目の印象と、実際の性質が逆を向いている植物です。
店頭で見るのは、赤い苞ではなく葉と土
売り場では赤い部分の色づきに目が行きますが、株の状態が出るのは下のほうの緑の葉です。下葉が黄色くなっていたり、落ちた跡があるものは、店頭に並ぶまでのどこかで冷えている可能性があります。
鉢を持ったときに軽すぎないかも見ておきます。入荷したばかりの株より、店内で数日落ち着いたもののほうが、持ち帰ってからの変化は小さくなります。
選ぶときは、赤い苞の鮮やかさより「下葉が緑のまま残っているか」を先に見ます。苞は買ったあとに増えませんが、葉が残っている株には環境に慣れる余力があります。
昼と夜で温度が大きく動く窓辺が、いちばん危ない
写真のポインセチアは、12月のはじめに園芸店で買った鉢植えです。日当たりのよい場所を選んで置いていました。それでも年が明けたころから少しずつ萎れていき、1月に急に冷え込んだ時期を境に傷みが早くなりました。
日照は足りていたはずなので、原因は昼と夜の寒暖差だったと考えています。
日当たりのよい窓辺は、昼は暖かくても夜は外気に近いところまで下がります。日照だけで置き場所を決めると、この温度差で株が傷みます。夜はカーテンの内側へ入れる、窓から一歩離す。その程度でも差が出ます。
室内か屋外か
冬のあいだは室内が基本です。屋外に出せるのは、遅霜の心配がなくなる5月ごろから、朝晩が冷え込みはじめる10月ごろまでが目安になります。
屋外へ移すときは、数日かけて明るい日陰から慣らします。いきなり直射日光に当てると葉が焼けます。
水やりと肥料
ポインセチアの水やりは、季節で考え方が変わります。苞が色づいている冬は乾かし気味に、生育期の春から秋はしっかりと。この切り替えができていれば、大きく失敗することは多くありません。
冬は土の表面が乾いてから、さらに1日ほど待って与えるくらいで十分です。冷たい水をそのまま与えず、室温に近い水を使います。
鉢カバーや受け皿に、水を溜めたままにしないでください。冬は蒸発が遅く、根が水に浸かった状態が長く続きます。冬に株を枯らす原因として、水のやりすぎは寒さと並んで多いものです。
肥料は、苞が色づいている冬のあいだは与えません。生育が止まっている時期に与えても吸収されず、かえって根を傷めることがあります。
再開するのは切り戻しをしたあと、5月ごろからです。生育期は緩効性の固形肥料を置き、伸び方を見ながら液体肥料で補います。
葉が落ちる・枯れるのはなぜか
ポインセチアでいちばん多い困りごとが、葉が落ちることです。落ちる時期によって原因が違うので、いつから落ちはじめたかを思い出すと、対処が絞れます。
買ってすぐに落ちる場合
持ち帰りの途中や、家に着いてすぐに落ちる場合は、移動中の冷えが原因のことが多いようです。暖かい店内から氷点下に近い外へ。この落差を短時間で受けると、株は葉を落とします。
購入時に袋やラッピングで包んでもらい、車内や玄関に長く置かない。それだけでも防げます。
年が明けてから、少しずつ落ちる場合
買ってしばらく持ったあとに落ちはじめる場合は、置き場所の温度差か、水のやりすぎのどちらかを疑います。先に書いた窓辺の寒暖差は、この型に当たります。
鉢を持ち上げて、ずっしり重ければ水が多すぎ。極端に軽ければ乾かしすぎです。土の表面ではなく鉢の重さで判断すると、迷いが減ります。
葉が落ちきってしまったら
葉がほとんど落ちても、茎が緑色で張りを保っていれば、株はまだ生きています。水やりを控えめにして暖かい場所に置き、春の切り戻しまで様子を見ます。
茎を軽く押してみて、しなびて手応えがないようなら、根まで傷んでいる可能性が高くなります。その場合は回復が難しくなります。挿し木で残せそうな枝があれば、そちらに切り替える判断もあります。
花が終わったら、切り戻し
切り戻しは、ポインセチアを翌年も楽しむための出発点です。ここを飛ばすと、株は上へ伸びるばかりで、下がすかすかの姿になっていきます。
時期は4〜5月、節を2〜3個残して切る
苞の色が抜けてきたら、切り戻しの合図です。時期は4月から5月ごろ、株全体の高さが3分の1から半分になるくらいまで切り詰めます。
切る位置は、茎に残っている節を2個から3個残したところが目安です。短く切っても、残した節から新しい芽が伸びてきます。
切ると白い樹液が出る
ポインセチアの茎を切ると、切り口から白い樹液が出ます。肌に付くとかぶれることがあるとされているため、作業のときは手袋を使うと安心です。
樹液は水で洗い流せます。小さなお子さんやペットがいる部屋では、切った枝を置きっぱなしにしないでください。この性質は〈ポインセチアの花言葉〉でも触れています。
切り戻さないとどうなるか
切らずに育てても枯れはしませんが、翌年の姿が崩れます。茎だけが長く伸び、葉が上のほうにしか付かない状態になります。
買ったときのような形に近づけたいなら、切り戻しと摘心をあわせて行います。
植え替え
切り戻しと同じ季節に、植え替えもすませておきます。適期は5月から6月ごろ。切り戻しから2週間ほど置いて、新芽が動きはじめてからが目安です。
鉢は、今より一回り大きいものを選びます。大きすぎる鉢は土が乾きにくく、根腐れの原因になります。
土は水はけのよいものを使います。市販の草花用培養土で問題ありませんが、鉢底石を敷いて水の抜けをよくしておくと安心です。
植え替えのときに、古い土を3分の1ほど落として根の状態を見ます。黒く傷んだ根があれば切り取り、白い根が残っていればそのまま新しい土へ植えます。
夏の管理と摘心、病害虫
夏は屋外の明るい日陰で管理します。真夏の直射日光は葉焼けの原因になり、雨に長く当たると根が傷みます。軒下など、雨が直接かからない場所が向いています。
枝数を増やしたい場合は、7月から8月ごろに摘心をします。伸びた枝の先を指で摘み取ると、その下から脇芽が出て、株がこんもりまとまります。
害虫では、ハダニとオンシツコナジラミがつきやすくなります。ハダニは乾燥すると増えるため、夏は葉の裏に霧吹きで水をかけておくと予防になります。
葉の裏に白い小さな虫が飛ぶようならコナジラミです。増えると株の勢いが落ちるため、見つけた段階で薬剤を使います。

短日処理|翌年また赤くする
ポインセチアの赤い部分は花ではなく、苞(ほう)と呼ばれる葉です。この苞は、放っておいても色づきません。夜の暗い時間が一定より長くならないと、色づきのスイッチが入らないからです。
そこで、人工的に夜を長くしてやる作業が短日処理です。
いつ、何時間おこなうか
9月下旬から11月上旬にかけて、毎日12時間から14時間ほど、株を完全な暗闇に置きます。夕方5時ごろに段ボール箱をかぶせ、翌朝7時から8時ごろに外す。この形が分かりやすいと思います。
期間は40日から60日ほどが目安。苞が色づきはじめたら処理を終えます。
いちばん多い失敗は「光が漏れる」
短日処理は、1日でも光が漏れると、その分だけ色づきが遅れるとされています。箱の隙間から差す室内の明かりも、廊下の照明も、光として数えられます。継ぎ目をふさぎ、毎日同じ時刻にかぶせる。これがいちばんの近道です。
暗くする時間以外は、日中しっかり日に当てます。ずっと暗いままにしておけばよい、というわけではありません。
挿し木で増やす
切り戻しで出た枝は、そのまま挿し木に使えます。作業が1回で済むので、5月から7月の切り戻しとあわせて行うのが効率的です。
枝を10センチほどに切り、下のほうの葉を取り除きます。切り口から出る白い樹液は水で洗い流し、30分ほど水に挿してから、湿らせた土へ挿します。
発根までは3週間から4週間ほどかかるとされています。その間は直射日光を避け、土が乾かないように管理します。
何年育てられるか
ポインセチアは一年草ではなく、常緑の低木です。原産地では3メートル以上に育つこともあります。
日本の室内でも、切り戻しと植え替えを続ければ数年単位で育てられます。クリスマスが終わったら処分するもの、と思われがちですが、そうではありません。
ただし年を追うごとに株は木らしくなり、買ったときのような姿ではなくなります。姿を保ちたいなら、挿し木で若い株を作っておきます。
年間カレンダー
| 時期 | おもな作業 |
|---|---|
| 12月〜3月 | 室内の明るい場所で観賞。乾かし気味に水やり。肥料は与えない |
| 4月〜5月 | 切り戻し(高さを3分の1〜半分に)。肥料を再開 |
| 5月〜6月 | 植え替え。挿し木。屋外へ移す |
| 7月〜8月 | 明るい日陰で管理。摘心。ハダニ対策 |
| 9月下旬〜11月上旬 | 短日処理。10月中には室内へ戻す |
| 11月〜12月 | 苞が色づいたら通常の管理へ戻して観賞 |
まとめと、次の一歩
ポインセチアを弱らせる原因の多くは、寒さそのものではなく昼と夜の温度差です。日当たりだけで置き場所を決めず、夜は窓から離す。冬は乾かし気味に水を与える。この2つで、年明けの落葉はかなり防げます。
翌年また赤くしたいなら、4月から5月の切り戻しと、9月下旬からの短日処理が必要です。どちらも作業そのものは難しくありませんが、時期を逃すとその年は取り返せません。
この記事のうち、当サイトで実際に確かめられているのは「12月に購入した鉢植えが、日当たりのよい場所でも1月の寒暖差で萎れた」という点です。切り戻しの時期や短日処理の時間などの数値は一般的な目安で、地域や品種、その年の天候によって幅があります。
今年のクリスマスに一鉢選ぶなら、置く場所を先に決めてから買ってみてください。昼も夜も温度が大きく動かない場所がひとつ見つかれば、その鉢は年を越せます。