ケイトウ(鶏頭)は、夏から秋にかけて燃えるような花を咲かせる一年草です。暑さに強く、真夏の花壇でも花色が褪せにくいため、園芸を始めたばかりの方にも扱いやすい花として親しまれています。
ただしケイトウには、ほかの草花とは違う「つまずきやすい点」がいくつかあります。とくに根が移植を嫌う性質と、肥料を与えすぎると花が小さくなる性質は、知らないまま育てると失敗につながります。
この記事では、種まきから土づくり、水やり、摘心、病害虫対策までを順番に解説します。あわせて品種の選び方と、咲いた花を切り花として長く楽しむ方法もまとめました。
ケイトウ(鶏頭)はどんな花
トサカのような花の正体
ケイトウという名前は、花の形がニワトリのトサカ(鶏冠)に似ていることに由来します。漢字で「鶏頭」と書くのも同じ理由です。
花びらのように見えている部分は、じつは茎の先が帯状に変形した花序(かじょ)で、本当の花はその表面にある小さな粒の部分です。ビロードのような独特の質感は、この小さな花がびっしり密集していることで生まれています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | ケイトウ(鶏頭) |
| 学名 | Celosia argentea |
| 科名 | ヒユ科セロシア属 |
| 原産地 | 熱帯アジア・アフリカ |
| 分類 | 非耐寒性一年草 |
| 開花時期 | 7月〜11月 |
| 草丈 | 15cm〜1m(品種による) |
| 花色 | 赤・ピンク・オレンジ・黄・紫・複色 |
熱帯生まれの花なので暑さには非常に強い一方、寒さには弱く霜に当たると枯れます。日本では一年草として扱うのが基本です。
ケイトウの種類と選び方
ケイトウは花の形で大きく分かれます。育てる場所と用途によって選ぶ品種が変わるので、種や苗を買う前に確認しておくと失敗が減ります。
トサカ系(クリスタータ)
もっとも「ケイトウらしい」形で、扇状に広がった花序が波打ちます。ずっしりとした存在感があり、花壇の主役に向きます。花もちがよく、一株でも十分に見栄えがします。
草丈は30cm前後の矮性種から1m近くなるものまで幅があります。花序が重いぶん、背の高い品種は風で傾きやすいので、支柱を用意しておくと安心です。花壇の手前に低い品種、奥に高い品種を配置すると、まとまりが出ます。
羽毛系(プルモサ・フサゲイトウ)
ろうそくの炎のようにふさふさと立ち上がるタイプです。切り花やドライフラワーに向くのはこの系統で、束ねたときのボリュームが出しやすいのが利点です。
赤・オレンジ・黄・ピンクと色数が多く、混合種をまくと一つの花壇でグラデーションが楽しめます。トサカ系にくらべて花序が軽いため倒れにくく、群植して面で見せる使い方にも向きます。
久留米ケイトウ
トサカ系を改良した品種群で、花序が球状にこんもりと盛り上がります。福岡県久留米市で育成されたことが名前の由来とされています。
草丈が高くなるものが多く、切り花用として流通しています。一本の茎に大きな花を一つ咲かせる仕立てが基本なので、摘心はせずに育てます。存在感が強いぶん、鉢植えより花壇や切り花向きです。
ノゲイトウ(セロシア)
穂状の細い花を咲かせる系統で、近年は「セロシア」の名前で苗が出回っています。草丈が低めで暑さに特に強く、鉢植えや寄せ植えに使いやすいタイプです。
枝分かれして次々と花を上げるため、開花期間が長いのも特徴です。夏の間に花が途切れにくいので、ベランダや玄関先など、いつも目に入る場所に置く鉢に向いています。
目的から選ぶなら
| 使い方 | 向いている系統 |
|---|---|
| 花壇の主役にしたい | トサカ系・久留米ケイトウ |
| 切り花にしたい | 羽毛系・久留米ケイトウ |
| ドライフラワーにしたい | 羽毛系 |
| 鉢植え・寄せ植えにしたい | ノゲイトウ(セロシア)・矮性のトサカ系 |
| 長く咲かせたい | ノゲイトウ(セロシア) |
ケイトウの栽培カレンダー
| 作業 | 時期 |
|---|---|
| 種まき | 4月下旬〜6月 |
| 植え付け(苗) | 5月〜7月 |
| 摘心 | 本葉6〜8枚のころ |
| 開花 | 7月〜11月 |
| 種の採取 | 10月〜11月 |
種まき
時期は4月下旬から6月
ケイトウの発芽には20〜25℃程度の地温が必要です。気温が安定して暖かくなってからまくのが基本で、早すぎると発芽が揃いません。遅くまきすぎると、花が咲く前に涼しくなってしまいます。
直まきが基本です
ここが最大のポイント:ケイトウは直根性で、根を切られたり傷つけられたりすることを非常に嫌います。ポットで育ててから植え替えるより、花壇や鉢に直接まいたほうが、その後の生育が安定します。
ポットにまく場合も、根が回りきる前に早めに植え付けます。育苗が長引くほど根鉢が固まり、植え付け後に生育が止まりやすくなります。
覆土は薄くします
ケイトウの種は光を受けて発芽する性質があるため、土は種が隠れる程度にごく薄くかけるのがコツです。厚くかぶせると発芽率が落ちます。発芽までは乾かさないよう、霧吹きなどで静かに水を与えます。
切り花として使いたい場合は、最初から切り花向きの品種を選んでおくと仕上がりが変わります。
苗の植え付け
日当たりと置き場所
ケイトウは日光を好みます。1日を通してよく日が当たる場所を選んでください。日照が足りないと茎が間のびして倒れやすくなり、花つきも悪くなります。風通しのよさも病気の予防につながります。
土づくり
水はけのよい土が適しています。鉢植えなら市販の草花用培養土をそのまま使えます。花壇では、植え付けの2週間ほど前に腐葉土を混ぜて耕しておくと根が張りやすくなります。
根鉢を崩さない
植え付けのときは、ポットから抜いた根鉢を絶対に崩さないでください。ほかの草花では根を軽くほぐしてから植えることもありますが、ケイトウでは逆効果になります。株間は品種の草丈に応じて20〜30cmほど空けます。
日々の管理
水やり
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。乾燥にはある程度強い一方、過湿には弱いため、常に湿った状態が続かないよう注意します。花壇に植えた株は、根づいたあとは雨だけでもおおむね育ちます。
肥料は控えめにします
よくある失敗:ケイトウは肥料が多すぎると葉ばかり茂って花が小さくなり、茎も間のびします。「元気がないから肥料を足す」という判断が、かえって逆効果になりやすい花です。
植え付け時に緩効性肥料を土に混ぜておけば、基本はそれで足ります。
鉢植えで長く咲かせたい場合のみ、開花期に薄めた液体肥料を月に1〜2回程度添える方法があります。
摘心
本葉が6〜8枚になったころに先端を摘むと、わき芽が伸びて花数が増え、こんもりとした株姿になります。1本の茎に大きな花を1つ咲かせたい場合や、切り花用に長い茎を取りたい場合は、摘心せずに育てます。
花がら摘みと支柱
咲き終わった花を早めに切り取ると、株の消耗を抑えられて次の花が上がりやすくなります。清潔なはさみで、花の付け根から切り落としてください。
草丈が高くなる品種は、風で倒れることがあります。生育の途中で支柱を立て、茎を傷めないようゆるく結んでおくと安心です。
病害虫と生育不良
アブラムシ・ハダニ
新芽や葉裏につきやすい害虫です。数が少ないうちは手で取り除けます。ハダニは乾燥した環境で増えるため、葉裏へも時々水をかけることが予防になります。
薬剤を使う場合は、対象の植物と害虫が適用範囲に含まれているか、必ず製品ラベルを確認してから使用してください。
立枯病
苗の時期に、地際が細くくびれて倒れてしまうことがあります。過湿と、まき過ぎによる密集が主な原因です。間引いて風通しを確保し、水のやり過ぎを避けます。
連作障害
同じ場所でケイトウを続けて育てると、生育が悪くなることがあります。花壇では、前年と違う場所に植えるようにしてください。
花が終わったあと
種を採る
花が終わって花序が茶色く枯れてきたら、株ごと切り取って風通しのよい日陰で乾かします。よく乾いてから軽くもむと、黒く小さな種が採れます。紙袋などに入れ、湿気の少ない場所で保管すれば翌春にまけます。
ただし市販の交配種から採った種は、翌年に親と同じ花が咲くとはかぎりません。同じ花を確実に咲かせたい場合は、種を買い直すほうが確実です。
冬越しはしません
ケイトウは非耐寒性の一年草で、霜に当たると枯れます。日本の屋外では冬を越せないため、株を残そうとせず、種を採って翌年にまき直すのが一般的です。
育てたケイトウを切り花で長く楽しむ
ケイトウは花もちがよく、切り花にしても1〜2週間ほど楽しめる花です。育てて咲かせたあと、そのまま室内に飾れるのがこの花の魅力でもあります。
切り花にするなら、羽毛系や久留米ケイトウのように茎がまっすぐ長く伸びる品種を選び、摘心せずに育てるのがコツです。切る時間帯や水揚げの方法、水が濁らないようにする手入れなど、長持ちさせるための具体的な方法は次のページにまとめています。
花序が乾きやすい花なので、そのまま吊るしてドライフラワーにもできます。色が濃い品種のほうが、乾いたあとの発色が残りやすい傾向があります。
ケイトウの無料写真
当サイトで撮影したケイトウの写真です。個人利用・商用利用とも無料でご利用いただけます。ユーザー登録や著作権表記は必要ありません。
よくある質問
茎ばかり伸びて花が小さいのはなぜですか
日照不足か、肥料の与えすぎが考えられます。ケイトウは日光を好み、肥料は控えめが基本です。どちらも「足りない」より「多い・暗い」ほうが失敗しやすい花です。
鉢植えでも育てられますか
育てられます。草丈の低いノゲイトウ(セロシア)系が扱いやすく、深さのある鉢を選ぶと根が伸びやすくなります。
植え替えはできますか
おすすめしません。根が傷むことを非常に嫌うため、一度植えた場所から動かさないのが基本です。最初に置き場所を決めてから植え付けてください。
種がうまく発芽しません
土を厚くかけすぎている可能性があります。ケイトウの種は光を受けて発芽するため、覆土はごく薄くしてください。地温が20℃を下回っている場合も発芽が揃いません。
まとめ
ケイトウを育てるうえで押さえるポイントは3つです。根を傷めない・日によく当てる・肥料は控えめにする。この3点を守れば、真夏の暑さのなかでも長く咲き続けてくれます。
咲いたあとは切り花やドライフラワーとしても楽しめます。ほかの花の育て方や花言葉は、下のリンクからご覧いただけます。
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