ロベリアは、蝶が舞うような小さな花を株いっぱいに咲かせる草花です。青紫の澄んだ花色が人気で、春の花壇や寄せ植えでよく見かけます。
買うときに迷いやすいのが、札の表記です。「一年草」と書かれているものと「多年草」と書かれているものが、同じ売り場に並んでいます。来年も咲くのかどうかで、置き場所も手入れも変わってきます。
この記事では、その疑問に先に答えたうえで、植え付けから切り戻し、夏の越し方までを整理します。
ロベリアとは|和名は瑠璃蝶草
ロベリアはキキョウ科ロベリア属の草花で、和名をルリチョウソウ(瑠璃蝶草)、またはルリミゾカクシ(瑠璃溝隠)といいます。瑠璃色の花が蝶のように見えることから付いた名前です。
花の大きさは1cm前後と小さく、株を覆うように密に咲きます。草丈は20〜30cmほどで横に広がるため、鉢の縁から垂らす仕立てにも向きます。花色は青紫のほか、白、ピンク、赤紫などがあります。
| 時期 | 作業と状態 |
|---|---|
| 3月〜4月 | 苗の植え付け・摘芯 |
| 4月〜6月 | 開花 |
| 6月 | 切り戻し(梅雨入り前) |
| 7月〜8月 | 夏越し(半日陰へ) |
| 9月〜10月 | 種まき |
花言葉と誕生花は〈ロベリアの花言葉、誕生花〉にまとめています。
一年草? 多年草?|買った株は来年も咲くのか
ロベリアには一年草として扱われる種類と、多年草(宿根)の種類の両方があります。売り場の札が分かれているのはそのためです。ただ、実際に育てるうえでの答えは、もう少し単純になります。
日本の気候では夏を越すことが難しく、園芸のうえでは一年草として扱われることがほとんどです。高温多湿に弱く、梅雨から真夏にかけて株が蒸れて枯れてしまうためです。
切り戻しや夏越しの手入れをきちんと行えば、多年草の品種はもちろん、一年草として売られている株でも数年育てられる場合があります。ただし手間と成功率を考えると、一年草として毎年新しい株を迎えるほうが結果的にきれいに咲かせられます。
札に多年草と書かれていても、日本の夏では枯れると考えて構いません。夏越しは「挑戦してみるもの」であって、前提にしないほうが花壇の計画は立てやすくなります。

よく出回る種類
店頭で最も多いのはロベリア・エリヌスで、一般に「ロベリア」として売られているのはこの系統です。近年は暑さに強く改良された品種も増え、夏を越しやすいものが出ています。
このほか、赤い花を咲かせるカーディナリス、日本の湿地に自生するサワギキョウなども同じロベリア属です。サワギキョウは宿根性で、一般のロベリアとは育て方がかなり違います。札の学名や品種名を見て選んでください。
苗の選び方と植え付け
苗の選び方
苗が出回るのは3月から5月ごろです。株元が詰まっていて、葉の色が濃いものを選びます。すでに満開の株より、つぼみが多い株のほうが長く楽しめます。
茎が間延びして下葉が落ちている苗は避けてください。植え付けたあとも形が整いにくく、蒸れの原因にもなります。
植え付けと用土
植え付けは3月から4月ごろ。水はけと水もちの両方がよい土を好みます。市販の草花用培養土でかまいません。
株が横に広がるので、株間は20cmほどあけます。65cmのプランターなら3株、鉢植えなら4〜5号鉢に1株が目安です。培養土や道具のそろえ方は〈花の育て方に必要なもの|道具・培養土・肥料ガイド〉にまとめています。
日常の手入れ
置き場所
日当たりと風通しのよい場所に置きます。日照が足りないと花付きが落ちます。ただし真夏の西日は苦手なので、鉢植えなら夏は半日陰へ移せるようにしておくと安心です。
水やり
ロベリアは水切れに弱い草花です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり与えます。一方で、受け皿に水をためたままにすると根が傷みます。乾かしすぎず、湿らせすぎず、が要点です。
株の上から水をかけると、密集した花に水がたまって傷みやすくなります。株元へ静かに注いでください。
肥料
花の期間が長いので、肥料を切らすと花数が減ります。植え付け時に元肥を入れ、開花中は液体肥料を10日から2週間に1回ほど与えます。夏に株が弱っているあいだは止めます。
摘芯と切り戻し
摘芯|植え付け直後にひと手間
植え付けてしばらくしたら、伸びた茎の先端を摘みます。わき芽が増えて枝数が倍になり、こんもりとした株になります。この作業をするかどうかで、満開時の見え方がはっきり変わります。
つぼみが上がる前、3月から4月ごろまでに済ませます。1回だけでなく、2〜3回に分けて摘む方法もあります。
切り戻し|梅雨前が勝負
花が一段落する6月ごろ、梅雨に入る前に切り戻します。全体の半分ほどの高さまで思い切って切り、風が株の中を通るようにします。
この切り戻しが、そのまま夏越しの成否を決めます。茂ったまま梅雨に入ると、株の内側が蒸れて一気に傷みます。
切り戻しの目安は3つ。花数が減ってきた/株の中心が茂って風が通らない/梅雨入りが近い。どれかが当てはまったら切りどきです。
花がら摘み
花が小さく数が多いため、一輪ずつ摘むのは現実的ではありません。咲き終わった部分をまとめて刈り込むほうが手早く、株の風通しも同時によくなります。
夏に枯れるのを防ぐ
ロベリアが枯れる原因は、ほとんどが夏に集中します。高温、多湿、そして株の蒸れの3つです。
対処は、切り戻しで風が通る状態を作ったうえで、風通しのよい半日陰へ移すこと。鉢植えなら移動できるぶん有利で、地植えより夏を越せる確率が上がります。水は控えめにし、肥料は止めます。
避けたいのは、茂ったまま夏に入ることと、暑い時期に肥料を効かせることです。どちらも株を弱らせます。枯れてしまっても育て方の失敗ではなく、この花の性質によるものです。
病害虫
つきやすいのはアブラムシ、コナジラミ、ハダニです。アブラムシは新芽やつぼみに、コナジラミとハダニは葉の裏につきます。いずれも風通しが悪いと増えるので、切り戻しがそのまま予防になります。
病気では、多湿の時期に灰色かび病が出ることがあります。花や葉に灰色のかびが広がり、そこから傷んでいきます。傷んだ花や葉を株元に残さないことが予防です。
ロベリアは花が密に咲くぶん、株の内側が見えにくい草花です。外からきれいに見えていても、かき分けると内側が傷んでいることがあります。週に一度は株元をのぞく習慣にしておくと、被害が小さいうちに気づけます。
寄せ植えと増やし方
横に広がって咲くので、寄せ植えでは鉢の縁から垂らす役に向きます。同じ時期に咲くパンジー、ビオラ、ネモフィラ、アリッサムなどと合わせやすい組み合わせです。青紫の花色は、他の色を引き締める働きをします。
増やす場合は種まきが一般的です。9月から10月ごろにまきますが、種が非常に細かいため、土をかけずに、水を張った受け皿から吸わせる方法が使われます。多年草の品種であれば、切り戻しで出た芽を使った挿し芽や、秋の株分けもできます。
まとめと、次の一歩
ロベリアは、3〜4月に植え付け、日当たりのよい場所で水を切らさず、開花中は肥料を続ける。これで初夏まで咲き続けます。
そして、覚えておきたいのは梅雨前のひと手間です。6月に半分まで切り戻して風を通せば、夏を越せる可能性が出てきます。ただし無理はせず、一年草として毎年迎えるつもりでいるほうが、花壇はきれいに保てます。
春の花壇に青紫がひとつあるだけで、全体が引き締まります。小さな花の集まりですが、株ごと見ると存在感のある草花です。