シンガポールを象徴する場所として、世界中の旅行者に知られているマーライオン。 「世界三大がっかり名所」と呼ばれた時代もありましたが、現在では多くの観光客が その魅力を再発見しています。本記事では、マーライオンの由来から撮影のコツ、 シンガポール公認の6体すべての場所まで、写真家の視点で網羅的にご案内します。
マーライオンとは ─ 海とライオンの伝説から生まれた、シンガポールの象徴
マーライオンは、上半身がライオン、下半身が魚という想像上の生き物です。 高さ8.6メートル、重さ70トン。1972年にシンガポール政府観光局によって 建立された、シンガポールを象徴する記念像です。
名前の由来 ─ Mermaid と Lion を組み合わせた造語
「マーライオン(Merlion)」という名前は、人魚を意味する英語「Mermaid」と 「Lion(ライオン)」を組み合わせた造語です。Mermaid の “maid” の部分を “lion” に置き換えることで、海(mer)とライオン(lion)、両方を象徴する 名前が生まれました。 よくフランス語の「mer(海)」が由来とされることもありますが、 シンガポールは英語圏の国であり、正確には英語の Mermaid を元にした造語です。
サン・ニラ・ウタマ王子の伝説
マーライオンの誕生には、11世紀から伝わる一つの伝説があります。 スマトラ島のシュリーヴィジャヤ王国の王子サン・ニラ・ウタマが 航海中に激しい嵐に遭い、王冠を海に投げ入れたところ海が静まり、 無事にこの島にたどり着きました。
島に上陸した王子は、ライオンに似た獣を目撃します(実際にはシンガポールに ライオンは生息しておらず、虎を見間違えたという説が有力です)。 この出来事に感銘を受けた王子は、サンスクリット語で「ライオンの街」を 意味する「シンガプーラ(Singapura)」とこの土地を名付けました。 これが現在の「シンガポール」の語源です。
つまりマーライオンの「ライオンの頭」は、シンガポールという国名の由来である この伝説のライオンを表現しています。一方の「魚の体」は、シンガポールが 古くから「テマセック(ジャワ語で海)」と呼ばれる漁村であった歴史を 象徴しています。
設計はイギリス人の魚類学者だった
意外と知られていない事実ですが、マーライオンのデザインを手がけたのは イギリス人の魚類学者アレック・フレイザー=ブルーナー。 当時、シンガポールにあったヴァン・クリーフ水族館の館長を務めていた人物です。
1964年、シンガポール政府観光局の設置にあたり、彼がライオンの伝承と 海の街(テマセック)の歴史を組み合わせてデザインしました。 最初はシンガポール政府観光局のロゴマークとして1997年まで使用され、 その後、地元の彫刻家リム・ナン・センによって彫像化されました。
知って訪れたい、マーライオン3つの豆知識
マーライオンには、訪れる前に知っておくと体験が何倍にも豊かになる 背景があります。3つの豆知識をご紹介します。
1. なぜ東を向いているのか ─ 風水との深い関係
マーライオン公園の本像は、真東を向いて設置されています。 これは偶然ではなく、風水(フンシュイ)において東は繁栄と成功をもたらす 最も縁起の良い方向とされているためです。
2002年に元の場所(シンガポール川河口)から現在のマーライオン公園へ 移設された際も、この東向きの方角は変えられませんでした。 シンガポールという国家の繁栄を願う想いが、像の向きに込められているのです。
2. 口から流れる水が意味すること
マーライオンの口から絶え間なく流れる水は、風水において 「富が絶えず流れ込む」ことを象徴しています。 これはシンガポールの人々の間に根付いている縁起担ぎでもあり、 口から水を出すデザインは当初から計画されていました。
1998年には水を出すポンプが故障し、シンガポール政府は750万シンガポールドルを 投じて世界トップクラスのウォーターポンプシステムを導入。 バックアップ装置まで近くに設置されています。それほど水を流し続けることに 重要な意味があるのです。
3. 「世界三大がっかり」の真相と、現在の評価
コペンハーゲンの人魚像、ブリュッセルの小便小僧と並んで、 マーライオンは長らく「世界三大がっかり名所」と呼ばれてきました。 しかしこの評価は、現在では大きく変わっています。
背景にマリーナベイ・サンズが完成した2010年以降、像と現代建築の 共演が新たな絶景を生み出しました。夜のライトアップや、対岸の レーザーショー「スペクトラ」との競演など、訪れる時間帯によって まったく違う表情を見せるスポットとして再評価されています。
マーライオン公園 ─ 場所・アクセス・営業時間
最寄駅とアクセスルート
| 最寄駅 | MRT ラッフルズ・プレイス駅(Raffles Place / EW14・NS26) |
| 所要時間 | 駅から徒歩約7〜10分 |
| 代替アクセス | MRT エスプラネード駅(Esplanade / CC3)から徒歩約10分 |
| 住所 | 1 Fullerton Rd, Singapore 049213 |
ラッフルズ・プレイス駅から向かう場合、地下道を抜けると雨にもほぼ濡れずに 公園まで到達できます。Google マップには出てこないルートですが、 スコールの多いシンガポールでは覚えておくと便利です。
営業時間と入場料
- 営業時間:年中無休 24時間オープン
- 入場料:無料
- 予約:不要
ただし、口から流れる水は夜23時頃に止まることがあるため、 水しぶきを写真に収めたい方は、それ以前の時間帯に訪れることをおすすめします。 また、定期清掃や工事のため、像が囲いで覆われる期間があります。 訪問前にシンガポール政府観光局の公式情報を確認すると安心です。
滞在時間の目安
写真撮影と周辺の景観を楽しむ場合、20〜40分が目安です。 近隣のマリーナベイ・サンズやエスプラネード劇場と組み合わせて巡ると、 半日コースの観光ルートが完成します。
ベストな訪問時間と、おすすめの撮影アングル
マーライオンは24時間訪れることができますが、 「いつ訪れるか」が体験の質を大きく左右します。 写真家の視点から、3つのベストタイミングをご紹介します。
朝7時前 ─ 静寂と日の出
最も特別な時間帯は、朝7時前。観光客がほとんどいない時間に訪れると、 水音だけが響く静かな空間に立つことができます。マリーナベイから昇る朝日が 水面に反射し、像の輪郭を縁取る光景は、この時間帯にしか見られません。
日本から訪れる場合、時差が1時間あるため体内時計では朝8時の感覚になり、 比較的負担なく早起きできるのもこの時間をおすすめする理由の一つです。
夕方17:30〜18:30 ─ ゴールデンアワー
夕方の柔らかな光に包まれるマーライオンは、朝とはまったく違う表情を見せます。 像の白い大理石が金色に染まり、対岸のマリーナベイ・サンズも夕陽を浴びて オレンジ色に輝きます。 この時間帯から観光客は増えますが、人の動きも含めて画にすると、 シンガポールの活気が伝わる一枚になります。
夜20:00〜 ─ スペクトラショーとの共演
夜の20:00、21:00、(金土のみ)22:00には、対岸のマリーナベイ・サンズで 光と水のショー「スペクトラ(Spectra)」が始まります。マーライオン側から 眺めると、像の背後で光が踊り、湾の水面に反射する幻想的な光景が見られます。 ショーは約15分間。長時間露光が可能な三脚があれば、水面に映る光の軌跡を 収めることができ、シンガポール夜景の中でも最も印象的な一枚になります。
写真家が選ぶ、マーライオン撮影の楽しみ方
マーライオンは「ただ写真を撮るだけ」では、その魅力の半分も伝わりません。 ここでは、現地で多くの観光客が楽しんでいる撮影テクニックと、 写真家視点でのアドバイスをご紹介します。
定番の遠近法ポーズ ─ 水を口で受ける、手のひらで受ける
マーライオンの口から流れる水は、遠近法を使ったトリック撮影の格好の被写体です。 代表的なポーズには次のようなものがあります。
- 水を口で飲む構図:像の正面に立ち、水の流れの延長線上に口を持ってくる
- 水を手のひらで受ける構図:像から少し離れた位置で、水の落下地点に手を伸ばす
- 傘や帽子で水を受ける構図:アイテムを使って遊び心を加える
- マーライオンを手の上に乗せる構図:手前に手を出し、奥にマーライオンを配置
これらの撮影には、像から5〜10メートル離れた位置が最適です。 近すぎると遠近法が効かず、遠すぎると像が小さくなりすぎます。 撮影者と被写体の距離を調整しながら、ベストポジションを探してみてください。
背景にマリーナベイ・サンズを入れる構図
マーライオン単体ではスケール感が伝わりにくいため、背後のマリーナベイ・サンズ を一緒に画角に収めるのが定石です。像の正面から少し右にずれた位置、または やや見上げる角度で撮ると、過去と現代のシンガポールが一つの構図に収まります。
ミニマーライオンも忘れずに
本像のすぐ後ろ、約20メートル離れた場所に、高さ2メートルの 「ミニマーライオン(Merlion Cub)」が控えめに立っています。本像とは違って 口角が少し上がった愛嬌のある表情で、口から出る水もチョロチョロと静かです。 本像の混雑を避けて、こちらのミニマーライオンとゆっくり写真を撮るのも おすすめです。意外と見落としている観光客が多いため、独り占めできることも 珍しくありません。
実は6体ある!シンガポール公認マーライオン像まとめ
多くの人が「マーライオン公園の像が唯一のマーライオン」と思っていますが、 2026年現在、シンガポール政府観光局が公認するマーライオン像は全部で6体 存在します。それぞれに違う個性があり、街歩きの目的としても楽しめます。
1. マーライオン公園の本像(高さ8.6m)
最も有名な、口から水を吐く本家マーライオン。1972年建立。 ほとんどの観光客が訪れるのはこの像です。
2. ミニマーライオン(高さ2m)
本像の後ろに背中合わせで立つ小型版。本像と同じく1972年建立。
3. マウントフェーバーの像(高さ3m)
標高105メートルの丘の上に立つマーライオン。1998年建立。 シンガポール市街を一望できる絶景の中に佇んでおり、 ケーブルカー駅からアクセス可能です。
4. シンガポール政府観光局の像(高さ3m)
グレンジ・ロード近くの政府観光局敷地内。1995年建立。 他の像とは異なるワイルドな表情が特徴です。
5・6. アンモーキオの対の像
住宅街アン・モー・キオの駐車場入り口に立つペアのマーライオン。 1999年建立。観光地から離れているため、訪れる人は少ない隠れた存在です。 かつて存在したセントーサ島の巨大マーライオン(高さ37m)は、 2019年10月に営業を終了し解体されました。現在、シンガポール本島で 6体すべて巡る「マーライオン完全制覇」も、通好みの楽しみ方として 人気を集めています。
周辺で立ち寄りたい4つの場所
マーライオン公園だけを訪れて帰るのはもったいない場所です。 徒歩圏内にシンガポールの魅力を凝縮した4つのスポットがあります。
マリーナベイ・サンズ(徒歩15分)
3本の塔の上に船が乗ったような世界的にも有名な建築。 展望台「スカイパーク」からはマーライオンを上から見下ろす 珍しいアングルが楽しめます。
エスプラネード劇場(徒歩5分)
ドリアン(果物)の形をしたユニークな建築。外周のデッキからは、 マーライオンとマリーナベイの全景が一望できます。
フラトンホテル(徒歩3分)
1928年に建てられた植民地時代の建築。現在は5つ星ホテルとして 使われており、外観だけでも見る価値があります。
ヘリックス・ブリッジ(徒歩10分)
DNAの二重らせんを模した歩道橋。夜のライトアップは特に美しく、 マーライオンとマリーナベイ・サンズを結ぶ撮影スポットとして人気です。
マーライオン写真(商用利用可・無料DL)
マーライオンの実写写真を無料でダウンロード いただけます。ブログ、SNS、商用利用すべてOKです。
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マーライオンをもっと深く知る
マーライオン観光をさらに楽しむための、テーマ別の詳細記事をご用意しています。
- 📷 マーライオンの画像|商用利用OKフリー素材集 ─ ブログ・SNS・資料に使える無料画像
- 🏨 マーライオンとマリーナベイサンズ|定番構図ガイド ─ シンガポール観光の鉄板アングル
- 📸 マーライオンの写真の撮り方 ─ 時間帯・アングル・機材のプロのコツ

